一軒目

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―― ハロウィンとは、子供たちが仮装をして、お菓子をねだりまくるという下らない行事だ。 と、妹の咲に言ったら、魔女の杖で頭をボカボカ叩かれた。 まあ、夢を壊されたら誰でも怒るだろう。 滅多に怒らない俺でも、イラッとくると思う。 で、こんな話題が出るということは、今日がハロウィンだということだ。 咲は、小学二年生だからというのもあって、百均ではあるが魔女の衣装を買ってもらい、近所を歩き回っている。 夜に。 これがどういうことだか、わかるヤツは少ないだろう。 だから、親切な俺は教えてやる。 簡単にな。 咲が夜に外を練り歩く。 いくらしっかり者の咲とはいえ、子供は子供。 暗いのは怖いだろうし、こんな時間にはしゃぎ回っていたら迷惑極まりない。 そして、咲は女だ。 変質者が寄ってこないとも限らない。 ここまで話したらわかるだろう。 そう、俺は咲の世話係兼用心棒なのだ。 分かりにくい説明で申し訳ないと思ってる。 ま、その点についてはどうでもいい。 肝心なのはここからだ。 俺は今、どんな格好をしていると思う? …私服だと思った奴。 大不正解だ。
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