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鬱蒼と繁る針葉樹たちが、ただでさえ薄暗い森を、さらに不気味なものに見せていた。
腰に巻きつけた、遭難防止用のロープが、歩むと同時に少しずつ伸びていく。
視界の端には、派手な色のジャンパーを着た厳つい爺さんが、眼光鋭く辺りをサーチしていた。
木の窪み。岩の隙間。落ち葉の影。人の首がぶら下がりそうな太さや高さの木の枝。
その視線が、一点で止まる。
「またかよ……」
俺は呟いた。
今日、これで何体目だ?
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