二章

6/7
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
父の喩え文句も、表向きの心当たりが見当たらぬ信濃は、また素振りを繰り返したが脳裏の片隅でチラつく姿が一人。 藤の花が咲き誇る下で、涙を見せた和喜子の姿が脳裏を掠めていた……。 あの日から数日、時が経ち、私用で和喜子の家を通り過ぎたところでそこには何も変わらず藤の花が咲き誇るだけで、和喜子の姿はなく……。 変わってしまった事が一つ生まれていた。 「……ハァ」 木刀の切っ先を地面につけ、溜め息を漏らす信濃は、暫く溜め息が漏れて仕方なかった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!