序章

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扉が閉ざされた一角。壊れかけの扉からは、肌寒い冬の訪れを感じさせる風が吹き乱れ男の身に纏う死装束を揺らす。 格子小窓からは太陽の光が射しこみ、部屋の中央には一人の男が目を瞑りながら正座を組み続けていた。 殺風景な部屋――六畳ぐらいの部屋は机が一つ置かれているが他にはなにもない。 男は、ただ静かにその時を待っていた。 「時間だ」 扉が開けば、数名の男が部屋の中に声を通す。 目を瞑り続けていた男は、静かにその場から腰を上げた。 (私は此処で生活していたのか……だが、苦ではなかった) 外へと連行されていく中、男は自分が幽閉されていた廃寺にチラッと目を向ければ感謝の意を込め軽く頭を下げた。
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