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「何か昨日ふと思い出して……懐かしくなっちゃった」 目を閉じて、のどかはきっとその日の事を、再び瞼の裏に思い描いているのだろう。 そして最後にこう付け足した。 「衝撃的だったもんね」 笑いながら のどかは、数年前のそれを振り返った。 「私その時、推理小説を夢中で読みながら歩いててさ。そしたらその本の上に、何か白いものが降ってきて」 と、彼女は歩くリズムに合わせて言葉を紡ぐ。 「眼鏡の位置直してよく見たら白い羽根で……。何でって思って上を見上げたら、ニワトリの着ぐるみ着て、窓から乗り出してる一也が居た」 「……そうだったな」 俺の打った相槌は、ほろ苦い口調だった。 若気の至りとしか言い様のない、ほろ苦い思い出。 それに口調が重なった。  
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