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「……私さ、面白い事は全部本の中だけにあるものだ、って、あの頃決め付けちゃってたから。俯いてばかりだった」 たまに見せる、どこか悲しげな表情で、のどかはそう言った。 それは、俺の知らない、彼女の一部。 無理に聞こうなんて思った事はないけど。 そんな彼女の顔も、雪の中に儚げに映えた。 「でも、それを一也が壊してくれた。目線上げて現実を見ても、なかなか悪くないって、あの時思わせてくれた」 と、再びのどかは穏やかな微笑みに表情を変える。 「ありがとね、一也。そしてこれからも宜しく」 そう言うと握手の代わりに、手を繋いで来た。
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