序ノ口 -情けの旅に炎(ほむら)立つ-

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  酷く、暗い。 総てが見えぬ訳では無く、しかしふと彼の意識が外へ向かった時、妙に周囲が闇色に染まっている様な心持ちがし、くん、と息を呑む。 が、次の時には自分の腹の下にて悶える白き肌が視界に入り、否応無しに視線が落ちた。 …見知った、者。 俺は何をしている? 理解する暇は無かったが、お互いの身が揺れ動く度にじわりじわりと実感し、彼と其れは甘い吐息を混じらせ、絡まりあった。 …嗚呼、しかし何故自分はこの人を抱いているのだろう?其んな疑問符がふと過ぎったが、細い腕が思考を総て吹き飛ばすに至った。 美しき闇。 狂い咲くかの如く絡まる、二人。 …しかし何処か違和感を覚え、ふと彼は相手の顔を覗き込み。 息を、呑む。 白い肌を桜色に染め珠の汗を浮かべている 其の人は。  
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