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吉村家の朝はいつも台所から始まる。
毎朝、吉村家の主人・崇が朝食と弁当を作る。
『わんっ!』
吉村家の愛犬・またきちが崇に朝食の催促してくる。
「…おはよう、またきち。元気で良いなぁ、お前は…」
またきちは崇が差し出した餌を夢中で食べている。
崇の顔色はあまり良くない。
「その食欲、俺にも分けてほしいよ…」
寝室に行くと布団に向かってポツリとそう呟いた。
その声もどこか元気がない。
「ゆうさぁん…もう行くよー…?」
「んー…いってらっしゃい…」
布団から眠そうな顔を出したのは崇の妻・祐二。
「朝ご飯…置いてあるからね…」
崇はそう呟く。
そのあと、欠伸をして家を出て行った。
「んー…さんきゅっ…」
そんな崇を祐二は体調不良だと思っている。
しかし、崇はただの体調不良ではなかった。
これはそんな二人の話。
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