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僕の一日はたかしが作った朝食から始まる。
「おはよう、またきち。よしよし」
またきちとの触れ合いも忘れちゃいけない。
僕の職業はカメラマン。
と言ってもプロではない。
プロは写真を撮ることだけで稼げる人のことを言う。
僕は写真を撮るだけ撮って稼ぐことはあまりしない。
時々、雑誌やカタログの撮影を任せられることはあるけれどごく稀だ。
稼ぎはたかしに任せ専業主婦同然に生活をしている。
~♪
いつものようにたかしが作った朝食を食べていると電話が鳴った。
「ふぁい、もひもひ?」
「もしもし、お兄ちゃん!?今月のマガジン買った!?」
妹の直美。
直美は実家の八百屋を旦那の佑ちゃんと経営している。
「マガジン?うん、あるけどそれがどうかした?」
「気付いてないの!?お兄ちゃんの撮った写真、載ってるよ!大賞だって!!」
前に編集者の西森さんに勧められてマガジンのコンテストに送ったことを思い出した。
「俺の写真が大賞?そんな訳ねぇじゃん。あ…」
受賞者のページに『大賞:吉村祐二』と書いてあった。
呆然としてくわえていたパンは床に落ちそれをまたきちがくわえて持って行く姿を見ていることしか出来なかった。
「たかしに電話しなきゃ!」
気が付くと僕は直美の電話を切りたかしに電話をしていた。
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