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「虎狼館、奴らは空手を基にした拳足による殴打を主体にした格闘スタイルだと聞いている。
ワシの知る限り既に12の道場が奴らの道場破りによって傘下に加わっている。ワシらの仲間内では“北東の牙”と呼ばれておるよ。」
試合開始前の何とも言えぬ半端に長い間を退屈しないようにと気を配ってくれたのか、龍夢氏は俺に虎狼館についての情報を教えてくれたのだった。
だからそう言う情報はもう少し早くから教えて欲しかった。
(教えてもらったからと言って、やはり俺が勝てたとは思わ無いけれど)
磊犇森氏の見た目年齢は40歳ぐらいだと判断したが、もしかするともう少し年上なのかも知れないがやはり解らないし、そもそもそんな事はどうでも良かった。
七三分けだが後ろは刈り上げている。珍しい髪型だ。
そして弟子である3人も同じく後ろ髪を刈り上げている。
よく見ると耳のあたりに髪がかからぬ様、揃えてカットしている。
もみ上げも、かなり上の所でカットしている。
長さや髪型には取り決めがあるのか、虎狼館の方針なのだとすれば左龍達が負け、天道流が敗北したなら俺達もあの髪型にしなくてはなら無いのか。
あまり気は進まないが、かりあげくんヘアーの左龍を見てみたい気もしないでも無い。
因みに磊犇森の弟子達が3人だけお揃いのもみ上げと襟足の刈り上げであるが、
例外の1人、
目貝員だけはスキンヘッドであった。
「ん、準備オッケ!」
左龍が立ち上がる。
ストレッチは終わった様だ。
目貝に向きぱちと己が手のひらを打ち頭を下げる。
合掌。
(俺は左龍のこの動作に毎回萌える)
「では始めぇい!」
龍夢氏が号令をかける。
お爺ちゃんは控え選手でありながら審判もするのであった。
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