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勿論声の主は串中だった。
見ると彼の腕は変な方向に捻じ曲がっている。
折れたのだろうか。
「うん、この感触…悪く無いね。」
左龍は何か独りで納得した。
なんだか物凄く恐い事を言っている様に聞こえたが。
「手応えは掴んだ。降参すればここまでにしておくが?」
左龍は串中を直視して問い質す。
彼を見据えた左龍の瞳には偽りの色は見え無い。
ただ、どこまでも深く底知れなさだけがある。
「ぐ…が…だ・れ・が…!」
苦し紛れに抵抗の意志を示す串中。
がぎ。
ともう片方の腕ももいだ。
「あが!!」
悲痛な叫び。
「降参?」
左龍が問う。
「……。」
串中は尚無言である。
「ふん、」
ガン、と今度は膝に蹴りを入れる。
がくりと崩れ膝を衝く串中。
蹴りが入った膝はやはりあらぬ方向へ向きだらりと力なく垂れている。
「磊犇森さん、もうこれ以上は無駄だと思いますが…。って言うかボクはもうこれ以上したくありません。でも本人が負けを認め無いし審判も止めないのなら…」
“致し方ない”と言って左龍は…。
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