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串中の頭を掴む左龍。
片腕だけで人一人持ち上げる腕力もさる事ながら、その図はあまりにも主人公らしからぬ行動である。
「このまま首の骨を折ります。」
もっと極悪な事を言いやがった!!
「や、やめろぉ!私の弟子を殺すつもりか!もう良い、負けで良いから離してくれ!」
泣きそうな顔で懇願する磊犇森氏。もうどちらが悪やら分からない。
「それまでじゃあ!!」
そこで漸くドクターストップって言うか勝敗により普通にストップ。
「ふん、」
左龍はさして興味もなさそうに、遊び飽きた玩具を捨てる様に串中を床に打ち捨てた。
べしゃりと肉がへばる音。それに準じて「ぐへぇ」と鳴く。
「左龍の勝利である。」言うまでも無いがこれも定形。
「く…う、うむ。」
磊犇森は苦々しげにしているがそれよりも串中を助けに駆け寄る。
左龍はスイッチがOFFに変わったらしく、その目つきからは殺気は消えていた。
「関矢~!怖かったよ~!!」
「ウソつけ!」
お前が怖いわ!
敵とは言え、何の躊躇も無く次々に骨を折るとは狂気の沙汰である。
「ほう、しかし左龍よやりおる。」
龍夢氏は何やら感心している。
「人、一人解体したのを誉めるなよ!」
最悪の親子だな。(正確には祖父と孫だ)
殺人拳の家系でもあるまいし。
「いやいや…ふむ、ふむ。なる程な。ふむふむ」「何…?」
「ほほう、ふぬふぬ。悪く無い。」
老人は独りで何だか納得してしまっている。
「龍夢さん?」
俺は酷く心配になった。この爺さん、いよいよ訳が解らない。
だが、串中を眺め回して龍夢氏は腕を伸ばす。
「ぬん!」
と一声、
がぎ、と実に嫌な音が鳴り
「あぎ!」
と串中が呻く。
龍夢氏、
「ふん。ふぬ、悪く無いわい」
と満足げ。
「あんたも鬼か。」
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