呉越同舟

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あれから左龍は子供達に稽古をつけて、更に高校生、社会人の生徒と組み手をしていたらしく夜までここには来なかった。 キチンと師範代をやってる所が逆に腹立たしい。 いや、本来怒る所では無いが。 「やっほーみんな。怪我だいじょーぶ??」 そんでもって左龍は夜食を整骨院に運ぶ形でやって来たのだった。 「はい、晩ご飯だよー。あーん」 「やめろって!自分で食べるから、」 本当は凄く嬉しいけど、やっぱりやめてくれ! 「ねぇ関矢、みんなと仲良くなった??」 「い、いや…。」 「ダメだよー話さないとー。」 いやいや、俺は人付き合いが苦手なタイプなんだ。 と言うかこいつら虎狼館は天道流に道場破りを仕掛けて来たんだぞ? 友達になれる類の人間じゃ無いだろう。 やっぱり左龍は子供だ。 クラスメイトや門弟は彼を“子供返りしている”と言う。 ある意味正しいが本質的に間違いだ。 左龍は子供返りしてしまったのでは無く子供の域から出ていないのだ。 精神未発達。 数学の点数が低いのも英語の勉強が出来ないのも、世界史が暗記出来ないのも頭が高校生レベルに追いついて居ないからだ。 俺はやっとの事でその真相に至った。
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