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目貝と串中は目に隈が出来ていた。
極めて不健康。
そう、彼らは左龍の姉自慢に突き合わされ昨晩一睡も出来なかったのである。
「うふふ、うふふふふ…。」
左龍は笑っていた。
夜通し敬愛する姉について語り、姉に対する想いが燃え上がり愛しさと切なさと心強さが溢れている。
しかしそれは同時にある事実を指している。
そう、左龍も寝て無いのである。
とても幸せそうでありながらとても不健康そうな、影のある壊れた笑みの正体は不眠にあった。
「お前馬鹿だろ!」
いや、俺は分かっていたけどねっ。
「お姉さんお姉さんお姉さん…」
変な幻覚を見ているに違い無い。
左龍は疲れのピークと徹夜の際に訪れるハイテンションに見舞われている。
とても危険な状態だ。
「さぁ、後半戦を始めようか。」
既に道場には磊犇森轟蟲と母海苺、水永氷が到着しており彼らは柔軟体操を始めていた。
虎狼館のメンバーは残る2人となったが、コンディションは良好な様だ。
対して左龍はとても今から戦えそうには見え無い。
「お、おい左龍お前フラフラだぞ止めといた方が良いんじゃないか?」
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