日曜日

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意外、それは寝技!! 「例え一本を取っても勝ちにはならない、ならばギブアップさせる!」 「ふふふ、虎狼館には2人の柔道家が居る。投げ技の串中、そして寝技の母海だ…。」 磊犇森轟蟲は誇らしげに言う。 「母海さんの寝技は効くぜ、毎日練習相手として技をかけられた俺ならその恐ろしさを知っている!」 串中がしたり顔でニヤけたが、こいつにはただ単に好きな女の子と畳で密着したいだけだという嫌疑が掛かっている。 確かな見極めとスピードを誇る左龍を押し倒し固め技を掛ける母海は並大抵の遣い手では無い。 迅速だ。 しかも【縦四方固】!!! 仰向けに倒れている左龍に母海が馬乗りになり、胸を密着させて押さえ込んでいる。 母海の腕は左龍の背に回り首の後ろで固めている。 かなり苦しい固め技であるが、男女でやるのは問題がある技だ。 「く…」 左龍は若干苦しそうな声を漏らす。 微かに窺える表情、 エロいと言うか何だかこの場合百合っぽく見えて来た。 見ているこっちがヤバい。 「勝負はここで決まった。」 磊犇森氏が止めに入ったが 「この勝負、まだこれからにござる」と龍夢氏が言う。 「馬鹿な、一本が無効とは言えここから覆せる筈が無い。スタミナ切れでギブアップするのが落ちじゃ!」 磊犇森氏がせき立てる。 「あれを見よ」 龍夢氏が2人を指す。磊犇森氏が一瞬目を離していたその隙にとんでも無い事が起こっていた。 何と母海の首がぐりとあらぬ方向へ向いているでは無いか。 「ふう、極めてキツい固め技だね。右腕を脱するのに精一杯だった。だけど縦四方固めの要は相手の右腕を完全に封じる所にある。僅かでも僕を自由にさせたのが君の敗因だ。」 言って左龍は母海の首から手を離し、彼女の体を押し返して技から抜けて出たのだった。
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