終わりの始まり

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破壊の限りを尽くされた街の中で虚しく一軒だけ建つ建物 辛うじて家の原型を留めてはいるが、木の柱は大きく歪み 屋根は半分崩れ落ちており おおよそ人の住居とは言い難かったが、少年は躊躇う事なく入っていく 家の中には木片や硝子の破片が床一面に散乱しているが、少年は慣れた足取りで硝子を踏まぬように避けて行き階段を昇る 目的の場所に着いたのか 少年は一息つくと声をあげる 「おじさん、お酒と食べ物を持ってきたよ」 少年の声に応じるよう奥から男が現れ、少年の麻袋をひったくるように取るとまた来た道を戻る 少年はそのまま男に着いていく 奥には僅かに脚の長さが違う木製の椅子が二脚あるだけで簡素な物であった 男はそのまま椅子に座ると少年もまた男と対面するように椅子を移動させ座る 「おじさん、お酒と食べ物を持ってきたよ。だから約束通りに伝説の勇者のお話をしてよ。」 男は面倒そうにため息をつく
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