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向かいあう男と少年
男は足で麻袋を挟み右手で麻袋の中身を物色する
酒瓶を取り出すと栓を口でくわえて引き抜くと、そのまま喉を鳴らしながら酒を飲む
男は一息ついたのか、椅子から立ち上がりどこからか蝋燭を取り出すと指先から小さな火を出し、火を灯す
蝋燭に灯された火は細く小さな火ではあったが、暖かな光であった
それにより、部屋は僅かに照らされる
光により見えた男の風貌は醜いものであった
肩口から袈裟懸けに斬られた後があり、ある筈の左手はそこにはなく
右目は潰れ、傷痕は肉が盛り上がり、男の顔を醜く歪ませていた
「お伽噺を聴くためだけに食料を持ってくるなんてな」
男は呆れたように笑うと椅子に深く座り直し、ぽつりぽつりとゆっくりと話し始める
勇者と呼ばれたとある青年の話を
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