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次の日ーーー
学校へ行くと、成田は既に来ており、必死に難しい顔で教科書を凝視していた。
「おはよう、成田。早いな」
「おはよ、成瀬。昨日はありがとうな。んで、今日もよろしく頼むよ」
成田は教科書から顔を外し、俺の方を見た。
「かまわないが…おまえ、顔にチョコが付いてるぞ」
「マジで?チョコパン歩いて食べながら来たから。カッコわりいぃ。どこだよ?」
成田はあちこち顔をこすり始めた。
「クククッ…ここだ。ほら…舐めておけ」
俺は成田の頬についたチョコを指で取り、成田の口に差し込んでやった。
「の゛あぁぁぁ!成瀬ぇぇ!早く消毒しろ!指が腫れ上がるぞ」
教室の入り口で、平野が頭を抱えて叫び、机にぶつかりながら走ってきた。
「ダメじゃないか成瀬。恐ろしいことするなあ…おまえの綺麗な指がとんでもないことになるぞ」
平野はカバンからタオルを出し、いきなりタオルで包み込んで俺の指を拭きながら言った。
「あっ…」
「はいはい。もう綺麗になったから終わり。ところで、俺かなりの言われようなんだけど?」
成田が笑いながらタオルから俺の手を抜き、平野を見上げて言った。
「いやいや、俺は成瀬を思って事実を言ったまでだ。何か気に障ったか?」
平野もにこやかに成田に向かって笑っている。
「いつの間に仲良くなったのか知らないが、実に好ましい関係のようだな」
2人は『そうだろ?』と俺の方を向き笑っていた。
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