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「くぅ~泣いたせいか、頭が痛え…」
すっかり薄暗くなったコンビニの前の段差に座り、成田が頭を押さえた。
「これでも飲め」
俺は成田にスポーツ飲料を差し出した。
「失った水分と塩分をしっかり補っておけよ」
「ホント…デリカシーのないやつ」
成田は赤くふてくされた顔で『どうも』と言ってそれを手に取った。
「さっきのアイツ…同じ小学校でさ。俺…アイツに……イジメって言うのを受けてた」
成田はペットボトルを額にあて、自分を落ち着かせるようにゆっくりゆっくり語った。
「最初は…ちょっと激しいイジリから始まって…でもその時は森がいたから…彼女見かけ通り逞しいからさ。でも彼女がすぐに転校しちゃって…気がついたらみんなアイツが怖くて…孤立していた」
“孤立”…
隣の成田よりずっと小さな幼い成田が、その小さな体で必死に耐えていたのかと思うと…
「アイツは自分が“王様”でいたかった。だから…俺を…“奴隷”にした」
「何てヤツだ!」
俺は腹が立って立ち上がった。
しかし、成田はそんな俺を冷静に見ながら話を続けた。
「学校に行っても気持ちは落ち着かなかった…毎日のように土下座をさせられ、上に乗せて馬のように歩かされたり…常に敬語と怒りを買わないように努力する毎日…物は無くなる…見えない部分を蹴飛ばされて殴られて…これ以上エスカレートしたら限界だっと思ってた頃…アイツは母親の再婚を機に転校して行った」
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