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放課後の図書室ーーー
(どうして…こんなことに?)
俺は、さっきからこの疑問ばかりが頭の中を駆け巡っている。
向かい合わせで4脚ずつ椅子を並べた大きな机がいくつか置かれたこの図書室で…
俺は一つの机に、俺以外の6人と黙々と勉強をしている。
図書室で過ごす学生らしい一幕…のはずなのに…
確か事の始まりは今日の昼休みーーー
「昴きゅ~ん。亜澄のお願い聞いてくれましゅか?」
俺と成田は久しぶりに学食で食べていた。
不意に『あ、そうだ』と何かを思い出した成田は、横向きに座り直し、肩を“しなっ”とさせ、右手の親指を軽く噛みながら上目づかいの視線で俺を見て、いきなり先程のセリフを言った。
「ぶっ!!」
俺は危うく、食べていたうどんを噴き出しそうになりながら、唖然として成田から目が離せないでいた。
「ねえ~。お・ね・が・い。亜澄のお願い聞いて…」
“クネクネ”と体をくねらせながら、成田は似合いもしない気味の悪い動きをしている。
「頼むから止めてくれ。せっかくのうどんが不味くなりそうだ」
「だったらあ~…お願い聞いて」
成田はコキンと首を傾げた。
「……お願いとは何だ?」
不気味なモノを見せられで、俺の食欲は減退していった。
「勉強教えて?」
「何故俺が、そんな面倒なことをしなければならないんだ」
授業をしっかり聞いていれば、難しい話でもないだろう…
「教えてくんなきゃ、拗ねちゃうぞ。また、泣いちゃうぞ」
「いや…頼むから止めてくれ…気分が…」
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