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立ち上がり腰に手をあて、俺を指差しながら頬を膨らませて言うもんだから…疲れる。
「じゃあ教えてくれる?」
ストンと椅子に座り、嬉しそうに勢いよく身を乗り出してくるから…俺のうどんの汁が少しこぼれてしまった。
成田は『悪い悪い』と言いながら慌てて机を拭き、様子を窺うように俺の顔を見た。
「俺は面倒だと思われることをするのが嫌いだ」
「面倒とか言うなよ。俺にとっては…すっげえ大問題なんだからな。うちの部は文武両道がモットーなの。だから先輩達も成績いいらしいし、海司先輩なんて学年ベスト3をキープしてるらしいんだぞ。俺、4月からの小テストなんて、どの教科もろくでもない悲惨な点なんだわ…非常にマズイのよ…」
「おまえよく…この学校入れたな」
「だってぇ~海司先輩がいたから。愛があるから頑張っちゃったってぇ…って言わせるなよ。恥ずかしいだろ。もう勉強に関しては燃え尽き症候群なんだわ」
成田は顔を手で隠し、恥ずかしそうに言った。
「はあ~…わかった」
「教えてくれるの?」
俺が頷くと、もっと明るい顔をして
「やったあ!ありがとう成瀬」
はしゃぎ過ぎてテーブルを“ガタン”と揺らせ…さっき以上に俺のうどんの汁をこぼしてくれた。
ムッとする俺に『わあ、ごめんなさい』とテーブルを拭きながら、『“やっぱり止めておく”なんて言わないでくれよ』と情けない声で言った。
「それで、いつだ?」
「今日から試験前日までの休み時間と放課後」
驚く俺に、成田はまだ笑っている。
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