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「この俺を、授業中以外は全て拘束するつもりか?」
「逃がしゃしませんよぉ~」
成田は呆れるくらい不敵に笑った。
バスケ部員に出会った成田を置いて、俺は先に教室に戻り自分の席に座った。
「成瀬。あの…今日は一緒に帰らないか?」
机の中から午後の授業の教科書などを出している俺に、平野が話しかけてきた。
「せっかくの誘いすまないが、放課後成田と一緒に勉強をする約束をしているんだ」
俺は横に立つ平野を見上げて答えた。
「成田とぉ?」
平野は何故か不機嫌そうな顔をしている。
「ああ。部のモットーとやらに背く訳にはいかないようだ」
「ふーん。じゃあさ、俺も一緒に勉強していいか?俺も成瀬と一緒に勉強したい!」
「成田に聞いてみないことにはわからない」
平野は何故か『チッ』と小さく舌打ちをした。
「何々?成瀬君、勉強会するの?」
偶然近くを通りかかったクラスメートの女子が2人、俺の机の前に立った。
この2人は、以前蒼真先輩が倒れたことを教えてくれことがきっかけで、毎日挨拶する程度にはなっている。
「いや…勉強会と言うほどではないが、放課後勉強を…」
「私達も一緒にしたい。ねえ」
「うん。したい、したい。いいでしょ?」
彼女達は目を輝かせて話に飛びついてきた。
「一緒にしたいよなあ?だから俺も頼んでるんだよ。ほら成瀬、彼女達もこう言ってるし、わざわざ成田なんかに聞かなくてもさあ」
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