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クラスメートの女子2人も、森さんと林さん達2人も、どちらも何かお互いに視線を交わしながらヒソヒソ言っている。
成田と平野は、意味不明なことで、お互い譲らずしぶとく言い合っている。
(うる…さい……)
俺は黙って立ち上がった。
「よし、みんなでしよう。なっ?なっ?」
成田は慌てたように、その場にいた他の5人に言った。
「何言って…」
「しっ!笑え平野!これ以上成瀬の機嫌を損ねたら、取り返しがつかなくなるぞ」
成田の様子に、皆が俺の顔を見て慌てて引きつったような笑みを浮かべた。
「それじゃ、放課後図書室と言うのはどうだ?……い…いいかな、成瀬?」
平野が怯えた顔で俺を見た。
「じゃあ、た…楽しみにしてるね」
「ホ、ホントね。た…楽しみ」
こうして、6人は笑って話をまとめてくれた。
最初からさっさとそうすればイイものを…
皆が去った後、成田が椅子に座ると、いつも以上に情けない顔をした。
「成瀬…こえ~よ…。悪かったって。もう怒るなよ。なっ?昴く~ん」
「俺を気安く名前で呼ぶな!」
「ひーん。成瀬が…怖い~」
成田が顔を覆った。
「どうして、早くから話がまとまらないんだ?」
怒る俺に成田が『ぶっ…』と吹き出した。
「たぶん…成瀬にはわかんねえよ。天然でおニブさんだからな」
そう言って成田は笑っているが、はぐらかされたようで納得がいかない。
が、わざわざこのような訳のわからない問題に振り回されるのは癪なので、今回はそう言うことにしておいてやろう。
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