一緒に勉強…かな?

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「なあ、今日ってやっぱ、急に帰りが遅くなるって…成瀬的にマズイ?」 成田が教科書に目を落としたまま聞いた。 「いや…『しばらくは帰りが少し遅れるかもしれない』と言ってあるから、連絡さえすれば…」 「じゃあ、今日の帰り…俺ん家来てもらえねえかなあ?今日俺んとこの親も留守だし、兄弟も帰り遅いから」 「かまわないが…いいのか?」 成田は顔を上げて『もっちろん』と言った。 「それでは、よろしく頼む」 「逆だ、逆ですから…こちらがよろしく頼むの」 放課後ーーー 『早く、早く』と背中を押され、慌ただしく学校を出た。 「アイツ…さすがに尾行してこねえだろうな」 成田は何度も同じことを呟きながら、落ち着きなくキョロキョロ、時には後ろを振り返り歩いている。 「“アイツ”とは誰を言っているのかわからないが、俺達を尾行するような暇なヤツがいるとは思えないが…」 「油断たい焼き!念には念を入れねえと」 いつも蒼真先輩と別れる場所まで来ると、初めて自分の帰る道ではなく、振り返り蒼真先輩の背中を追いかける… 蒼真先輩が帰って行く道へと進んで行った。 (おかしな気分だな…) 「どした?嬉しそうな顔をして……あっ」 成田は、普段は冴えていない頭が、最近使っているせいかよく回るようで、何かに気づいたように声を出した。 「はあい、はいはいはい………アイツの家は、この道まだ真っ直ぐ行った方向ね。正確な場所は知らねえけど。んで俺ん家はこっち。もうすぐでありんす」
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