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この後も俺はハッキリ意思表示していると言うのに、彼女はなおも意地になっているのか、俺に次々と色んなことを言ってくる。
俺には全くその気はないのに……
これだけ自分に対して関心もない男に、何を言ったって無駄だとは思わないんだろうか?
もう俺に何を言ったって無駄だし、俺だって時間がもったいない…
せっかくの蒼真先輩との貴重な時間が……
俺はつかつかと歩いて扉を開けた。
「蒼真先輩。入らないんですか?」
「うわっと、びっくりした!」
扉を開けると、蒼真先輩がビックリした顔で俺を見た。
そんな蒼真先輩を見て、彼女は慌てて走り去って行った。
「ふう」
(やっと行ってくれた…)
ホッとした俺は蒼真先輩に入ってもらった。
「立ち聞きなんて趣味悪いですよ」
俺としては少し冗談ぽく言ったつもりだった。
「いや…ごめん…聞くつもりなかったんだけど、来たタイミング悪かったみたいで。悪いな」
頬を赤らめて、片手を顔の前に立てて申し訳なさそうに謝ってくれる蒼真先輩に、俺としては少しキツイいこと言ったかなと…。
「別にいいですよ。あんなの、いつものことですし…」
あんなの……どうだっていい
「俺は、蒼真先輩が来てくれたことの方が嬉しいですから」
俺は素直に今の気持ちを言った。
本当に嬉しいから…
蒼真先輩は、思いがけず不思議な顔をしていて……ちょっと笑ってしまった。
蒼真先輩は見ているだけで楽しい。
俺なんかの想像をはるかに上回ることをしてくれる。
本人は無自覚なようだから…一緒にいる時間が余計に楽しい
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