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「あの方々って…もしかして現場にいた風紀委員の?」
「もしかしなくとも、そうですわ…」
そう黒子は言って、歯噛みする。
そこで、彼女は重要なことに気がついた。
いや、気がつかざるわけがなかった。
なんで、今まで考えなかったんだろうと思えるくらいだ。
「…通報自体が彼らによる手の込んだいたずらか、どうかも怪しくなりましたわね」
ついでに、二度あることは三度どころか続きっぱなしですわねと思う黒子。
(…毎回大変な事件に巻き込まれて、ボロ雑巾になっている類人猿の比ではありませんが)
「…そう言えば白井さん、門限はどうしたんですか?」
「…はっ!?」
そして黒子は、壁に掛けられた時計をバッ、と見る。
「門限は、たしか8時だったような気が…」
7時50分をまわっていた。
「ああ…こうしては居られませんの…また寮官の処刑が!!」
ちなみに処刑とは、首をいきなり勢いよく曲げられることを指す。
ちょうど、初春と佐天が乱入…もとい白井の部屋へ邪魔したときに、御坂の逆鱗に触れて能力を使用した際の話だ。
常磐台中学の学生寮では、能力使用が禁止されている。
非常に規則に厳しい寮官に能力使用が見つかり、白井は一撃で処刑されて横に棄てられてしまったのだ。
…二度とあんなことは、誰だって御免である。
「初春!詳しいことは、明日にしますの。私のパソコンに転送して置いてください!!」
そう言って、白井はドアに向かって駆け出し、バンッ!!と音を立て、出ていってしまった。
人は、鬼気迫る時にはやはり、冷静な判断ができないもので、空間移動を使えば早いのにと思った初春。
「あ…白井さーん…………………まだココア飲んでないのに」
せっかくミルク仕立てで淹れたココアが、コップの縁がきれいなままで、少し悲しい初春だった。
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