発端to事件

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――――― 御坂は、ふぅ…とため息をついた。 時計が、カチッカチッと進むにつれ、焦りが加速していく感覚がある。 単刀直入に言うと、彼女はイラついていた。 ここは、常磐台中学の二つある学生寮の内の一つ。 超電磁砲の御坂美琴と、空間移動で風紀委員の白井黒子の部屋だった。 間取りは、風呂付き洗面所付きの1D。 入ってすぐに二人のベッドが置いてあり、奥には机と本棚にパソコンが置いてある。 結構採光も良く、広々としてあるので、二人でも快適な空間だ。 そんな快適空間の中で、不快そうに腕を組み、ベッドに腰掛けている御坂は、しきりに時計を見ていた。 「…もうすぐ寮監の門限チェックよ…なのにアイツは…」 門限の8時まで、あと数分… 彼女のイラつきは、つまり、中々帰って来ない白井に対するものだった。 (風紀委員は非番だし、いくら居残りさせられても、こんなに捕まるわけないし…って言うか、体育の時間のアレは…!!) 考えれば、考えるほど、泥沼だ。 思わず、額からバチチッッ!!と火花を散らしていても気づかないほどに。 その時、コンコンッとゆっくり二回ノックした音を聞いた。 「はひっ!?」と、情けない声を出して、火花を収める。 ガチャ、と言って中を覗いていたのは… 「あの、すみません…白井さんはいらっしゃいますか…?」 …寮監では、なかった。 とりあえず、胸を撫で下ろす美琴。 訪問者を改めて見ると、セピアのポニーテールで、あまり身長は高くない人だった。 一年生の学年章を付けている。 さすがに生徒全員を把握しているわけでもなく、特に一年は黒子と数人しか名前を覚えていない美琴は、目の前にいる生徒は、誰かも見当がつかない。
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