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ドアを開けた少女は、怪訝そうにこちらを見ている。
「どちら様でしょうか…?」
美琴は、ひきつりつつも、笑顔で彼女に問いかける。
「あ…申し遅れました…私、一年の向井と申します。風紀委員の白井黒子さんに少し相談したいことがあって…」
(…風紀委員の…?)
その言葉に、彼女はピクッと反応した。
風紀委員に相談するなら…治安的な方面の可能性が高い。
(なんだか…面白そうじゃない…)
喧嘩的な方面になると、途端にやる気を示す美琴は、常盤台の生徒にあるまじき性格だった。
「黒子は、まだ帰ってないのよ。相談なら、私が聞いてもいいわよ?」
そう言うと、ポニーテールの彼女は少し戸惑いつつも、よろしくお願いします…と言って頭を下げた。
―――
「実は…付き合ってる彼の事なんですけど…」
…やってしまった…と美琴は思った。
恋愛方面でのトラブルは、今の彼女には無縁の話だ。
つまり、付き合ったような事がない。
安易に頷くんじゃなかった…と、今さらな美琴だった。
「…この頃、彼が挙動不審で…よく、世間体があまりよろしくない方達と一緒にいるんです…」
おや…?なんだか、美琴方面な話になってきたようである。
「聞いても、うやむやにされてしまいました…とにかく、なんだか危ないことでもやっているんじゃないかと…」
「なるほどね…」
久々にキナ臭い話だからか、さっきまでの項垂れ感から、意気揚々としている美琴だった。
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