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窓からそおっ…と覗く影一つ…
端から見ればただの覗きだが、ただの覗きでなかった。
どうみても、よじ上がることの出来ない壁をよじ登り、わずか3㎝の縁にピタリと壁に寄りつつ乗っている。
しかも、高さが3メートルはあり、学園都市でもかなりのセキュリティセンサー完備な塀を越えていて…
三次元の制約を無視できる空間移動だからこそだが。
その空間移動こと、白井黒子は青ざめていたが…
(お姉さまのお姿が見えませんの…既に、悪魔にさらわれておしまいに…!?)
ぶるぶる、わなわな…
震えてはいるが、バランスだけはしっかりとしている黒子。伊達にストーカーや覗きをやっている訳ではない。
彼女が探しているのは、お姉さまこと、御坂である。
時刻はとっくに8時を回り、寮監の検査はなかったのだが、彼女には知る術もなく、震えるばかりだ。
白井の指先も限界に近づいた、その時だった。
――ズドゥン!!…
彼女は、ハッとして、音の方向を向く。
彼女の目の先には、未だに明かりが照らす夜の学園都市に、白煙が見えた。
迷わず彼女は、空間移動した。
「一体何の爆発音なのでしょうか…?」
腕章を付けつつ、飛び回る黒子。
記憶が正しければ、学舎の園の北にある駆動鎧〈パワードアーマー〉の研究棟あたりからだった。
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