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もうもうと煙を上げる建物の側にタンッと降り立った黒子は、建物に向かって叫んだ。
「風紀委員ですの!誰かいらっしゃいませんか!?」
そして、気がついた。
〈電子工学第三研究所〉の立て札に「閉鎖につき、立ち入り禁止」の文字が。
取り合えず、ふう…と安堵する。
「閉鎖なら…取り合えず爆心地には、人はいらっしゃなないはずですわね…運悪く巻き込まれた一般人がいらっしゃらなければ良いのですが…」
そう言って、タタッと駆け足で爆発して吹き飛んだ残骸に足を向ける。
そこで、彼女は足を止めた。
―白煙が上がるそこに、揺れる黒髪が、こちらに向かってきている。
黒髪は、黒子を見つけるや否や、口を開いた。
「おんや~?常盤台の風紀委員じゃなーい。流石に大能力の空間移動は伊達じゃないわねー」
「…私の顔を覚えていらっしゃるのは光栄ですが…貴女の手にあるそれは、いただけませんわ」
黒髪の彼女の手にあるのは…黒い拳銃と、何やら細長い棒のような物だった。
黒髪は、ひきつらせた笑顔を浮かべて言った。
「もんだいです。アタシは一体何をしたでしょうか?ヒントは、この棒です」
「…やはり…貴女が爆発の犯人ですわね」
黒い棒を横にポイッと捨てて、黒髪は言った。
「分かってるじゃん♪…ってことは、アンタはアブナイ状況ってハナシよ」
カチャッと拳銃を右手で構える黒髪。
それを見た黒子は、消えた。
「空間移動に真っ正面で挑もうなど」
そして、黒髪の真上で言う。
「愚の骨頂ですのよ?」
高さ30メートルに飛び上がった黒子に、しかし、黒髪は全く動じない。
―黒子は違和感を覚えた。
黒髪は、言う。
「アンタこそ、わざわざ飛び上がる空間移動など、バカの極みだけれど?」
ニタリ…と黒髪が言った次の瞬間、
横目にコンクリートが真っ二つになるのを見た。
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