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黒子は、「はて…?」と首をかしげる。
「つまり…光線操作系の能力者の仕業ではない、と?」
その問いに、陽は慌て答えた。
「いや…そうではないんです。確かに、光線操作系の能力者なら人体に有害な光を出すのも電子機器に映らないのも納得なんですが…」
そう、口ごもって続けた。
「近くに電波を使ったセンサーがあって、それにはこの一時間は誰も引っ掛からなかったんです」
「確かに…妙な話ですわね」
そう黒子も頷いた。
光線操作系の能力者は、光の波長を変えることなどが出来るが、電波は別の能力者でないと変更できない。
電波の変更なら…電子操作〈エレクトロマスター〉の管轄にあたるのだ。
「…となると…複数犯の犯行による可能性がありますわね」
そうです、と言って他の三人も頷いた。
黒子は、もう一度ブランコを見た。
風に煽られて、フラフラと揺れるそれは、いつもより物悲しくあった。
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「流石に今日は遅いので、本格的には明日からとしましょう」
そう朝霧が言って、黒子は少し疑問が生じた。
「あそこで何やら調査している方たちは?」
「あの方たちは、どこかの研究室のチームみたいで…AIM拡散力場による逆算で能力者を特定する研究のために事件を調査しているらしいです」
なにやら、酔狂な方々ですわね、と独白した黒子だった。
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