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身長がちっさくても力は男もんだ。
力いっぱい抱きつかれたらたまったもんじゃない。
「秋、どいて。」
さっきよりも強めに言った。
だけど全く離そうとしない秋。
それどころかさっきより力が強くなってる。
さすがのあたしもこれにはキレた。
「テメェ、離れろって言ってんのがわかんねぇのか?」
低く、殺気を込めて言ったら秋の顔は真っ青になった。
あ…ちょっとやりすぎた。
「ご、ごめんなさい。」
俯いて謝る秋。
やってしまった…。
「ああー…ごめんな?ちょっと言い過ぎた。」
そう言って頭をポンポンすると、顔を真っ赤にしてコクンと頷く。
顔は赤くしなくていいだろ…。
と思うもやっぱり可愛い。秋は元が可愛いから真っ赤になってる顔は小動物より可愛い。
「お前、キレたら昔に戻るの止めろよ。ハンパなく怖いぞ。」
声がした方を向くと、腕を組んでる兄貴、隆(たか)。
いたのか…全くわからんかった。
「あ、今まで俺の存在なかったろ。」
ギョッとした目で見られた。
んな目、しなくても…。
昔に戻るのは、あたしが"青龍"の元総長だったから。
元ってゆーのは辞めたんだけど、まだみんなはあたしの事を探している。
だから思ってしまうんだ。もしかしたらまたみんなと楽しく過ごせるんじゃないかって…。
そんなの無理なのに。
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