第1話

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身長がちっさくても力は男もんだ。 力いっぱい抱きつかれたらたまったもんじゃない。 「秋、どいて。」 さっきよりも強めに言った。 だけど全く離そうとしない秋。 それどころかさっきより力が強くなってる。 さすがのあたしもこれにはキレた。 「テメェ、離れろって言ってんのがわかんねぇのか?」 低く、殺気を込めて言ったら秋の顔は真っ青になった。 あ…ちょっとやりすぎた。 「ご、ごめんなさい。」 俯いて謝る秋。 やってしまった…。 「ああー…ごめんな?ちょっと言い過ぎた。」 そう言って頭をポンポンすると、顔を真っ赤にしてコクンと頷く。 顔は赤くしなくていいだろ…。 と思うもやっぱり可愛い。秋は元が可愛いから真っ赤になってる顔は小動物より可愛い。 「お前、キレたら昔に戻るの止めろよ。ハンパなく怖いぞ。」 声がした方を向くと、腕を組んでる兄貴、隆(たか)。 いたのか…全くわからんかった。 「あ、今まで俺の存在なかったろ。」 ギョッとした目で見られた。 んな目、しなくても…。 昔に戻るのは、あたしが"青龍"の元総長だったから。 元ってゆーのは辞めたんだけど、まだみんなはあたしの事を探している。 だから思ってしまうんだ。もしかしたらまたみんなと楽しく過ごせるんじゃないかって…。 そんなの無理なのに。
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