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「きゃっ!?」
短い悲鳴と共に
左京先生が離れた。
微かな香水の香りが鼻先を掠め、
誰だか理解する。
「…恭先輩…」
「……」
恭先輩はこちらを見ず、
左京先生を睨みつけている。
「ちょっと味見してみただけじゃない」
悪気なく左京先生が言う。
そして、
ちらりとオレへと妖艶な笑みを浮かべ、
恭先輩の首に腕を回した。
(嫌だ!)
思わず後ろから
恭先輩の制服を引っ張った。
腕を回されたままの恭先輩が
驚いたようにオレを見る。
「っ!」
(何してんだよ!オレ!)
なんちゅう乙女みたいなことをしていることに気づいて
慌てて手を離せば、
ひんやりとした手に掴まれた。
「恭先輩…」
左京先生を引きはがした恭先輩が
オレの手を握っていた。
微かに嬉しそうな笑みを浮かべて。
「っ…」
一気に頬が熱くなる。
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