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「結城 恭」
ハスキーがかった声が名を紡ぎ、
鼓膜を震わせた。
「っ!」
すっかり忘れていた記憶が
呼び起こされる。
保健室で
恭先輩と左京先生が
体を重ねていたことを…。
「そんな顔させたかったわけじゃないんだけど」
少し困ったように眉を寄せる左京先生は
オレの耳のすぐ側で
頬杖をついた。
(だから…近いって…)
「恭のことは
恨んだり、妬んだりはしてないわよ。
もちろん、君のことも。
ただ…」
「ただ?」
「"あの"結城 恭が欲しがった君を
"味見"してみたいなぁと思っただけよ
」
「……」
(ああ…
何でオレの周りの人って
こんなのばかりなんだろう…)
オレは呆れるしかない。
恭先輩を筆頭に
春日部 総一(カスカベ ソウイチ)先輩に
友人の旭 和真(アサヒ カズマ)。
それに…
『オレの物になってよ』
と笑う吉良 碧(キラ アオイ)。
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