第1章

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「結城 恭」 ハスキーがかった声が名を紡ぎ、 鼓膜を震わせた。 「っ!」 すっかり忘れていた記憶が 呼び起こされる。 保健室で 恭先輩と左京先生が 体を重ねていたことを…。 「そんな顔させたかったわけじゃないんだけど」 少し困ったように眉を寄せる左京先生は オレの耳のすぐ側で 頬杖をついた。 (だから…近いって…) 「恭のことは 恨んだり、妬んだりはしてないわよ。 もちろん、君のことも。 ただ…」 「ただ?」 「"あの"結城 恭が欲しがった君を "味見"してみたいなぁと思っただけよ 」 「……」 (ああ… 何でオレの周りの人って こんなのばかりなんだろう…) オレは呆れるしかない。 恭先輩を筆頭に 春日部 総一(カスカベ ソウイチ)先輩に 友人の旭 和真(アサヒ カズマ)。 それに… 『オレの物になってよ』 と笑う吉良 碧(キラ アオイ)。 .
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