壱ノ巻 始まり

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「実は、城崎様に我が社が新たに開発した次世代型ゲームイベントに参加していただきたいのです」 「…………は?」 何とも間の抜けた声が出てしまった。 真剣に話し出したと思ったら、まさかのゲームのお誘いかよ……とは口には出さず、 「えーっと……、どういうことですか?」 もう一度質問を繰り返す。 「ですから、先程申し上げた通り、城崎様に我が社が開発したゲームイベントに参加していただきたいのです」 ……何言ってんの、佐々木さん?とマジで言いそうになった。 「えーと……、何で俺なんですか?」 参加どうのこうのは置いといて、最初に浮かび上がった疑問を訊いてみた。 「何故か、と言われましても、答えることは出来ません」 「はあ?」 マジで何言ってんだコイツ……とやはり心の中だけで呟いた。 「あの…、答えられないって、どういうことですか?」 「それは、こちらが決めた意思ではないからです、と答えておきます。今回は確認を取る為に掛けさせていただいただけですので」 「はあ……」 理由もなさそうなので、つまりは何か怪しいこと――という結論にたどり着いた。 無論、そんなイベントに参加する気はさらさら無い。 「あの、イベントの方なんですが、ちょっと都合が悪いので、不参加でお願いします」
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