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~殺人未遂~
「それで・・・、その難しい状況を打開するアイデアはあるの?」
「アイデアでは無いと言ったろう?
ここからは俺の想像…、“推理”だがな?」
件の推理は今までに何度か聞いてきたけど…。
黒澤の推理ってのを聞くのは…、そういえば初めてだ。
「実はな、お前と初めて会った時にいたお前の友人…。」
黒澤と出会ったのは、父が亡くなった時だから…、奈々子の事か。
「…奈々子がどうかしたの?」
「その、“片桐奈々子”を、あの日には俺は既に知っていたんだ。」
…あの時には、黒澤は奈々子を知っていた?
奈々子のフルネームを知っているくらいだから、そうなんだろうけど…。
「何で…、黒澤が奈々子の事を?」
「確か、事件の数日前だったか。
その、片桐奈々子の姿を、警察署で見かけた。
他の奴に聞いたら、事故で学校の2階の窓から転落したと。」
…奈々子が気にしてなかったようなので忘れていたけど…、
そういえば、確かにそんな事もあったな…。
「事件の可能性は無いといわれていたが…、
もしそれが、片桐を“狙って”の犯行だったとしたら…?」
「まさか…、あれはたまたま、はしゃぎ回ってた男子が…。」
「その男子は1年3組、野島文成…。
成績優秀だが線が細く、体を使った授業などは苦手。
インドア派らしく、地味で大人しい性格をしており、
今までに野島がはしゃぎまわる姿を見た事のある生徒はいない。
“片桐が事故にあった日、たまたま野島がはしゃぎまわっていた。”
結局事故として解決したし、担当でも無かったんで何も言わなかったが…、」
「まさか…、その野島って男子が奈々子をわざと突き落とした!?」
つまり…、奈々子の事故は、私のせいで巻き込まれた、“事件”…!?
「もしこれが俺の推理通りだったなら…、
これは立派な傷害…、いや、殺人未遂事件だ。」
確かに、運良く軽症で済んだけど…、打ち所が悪ければ、間違いなく死んでいた。
聞くだけなら2階という高さは大した事無いように感じるが、
むしろ…、実際は死んでも不思議ではないレベルだ。
「それからもう1つ、そう奴らは…、」
了
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