~作戦~

1/1
前へ
/10ページ
次へ

~作戦~

9月10日、午前8時、いつもの待ち合わせ場所。 「そういう事なら、この名探偵に任せな~さい!!」 私は奈々子に、黒澤から聞いた推理と、私が考えた作戦を伝えた。 …っていうか、“名探偵”は関係無いし。 同日の昼休み、1年3組の教室…。 「ねぇ~!!野島って奴いる~!?」 奈々子が大きな声で叫ぶと、1人の男子生徒が立ち上がり、近付いて来た。 ちなみに…、私は影で様子を伺っている。 「何…、僕に何か用?」 「あんたが…、野島文成?」 「あぁ、そうだけど…、何の用?」 彼が野島か…、意外に整った顔立ちをしてるなぁ。 「あんたさぁ、友香里に付きまとうのやめてくんない? 一緒にいる私の方が気持ち悪くなるんですけどぉ?」 「な…!?意味が分からない!!何を言ってるのか…、」 よし、この反応はビンゴだ…!! 自分で言うのはちょっと恥ずかしいが…、私に気がある事は間違いない。 少なくとも、下の名前だけで、誰の事を言ってるのか分かってる…。 普通、1年生が他のクラスの、異性の下の名前なんて知ってるはずがない。 「とぼけんなよ変態、超~キモいんですけど? もう二度と友香里に近づくなよ?このストーカー野郎が。 もし次に見かけたらマジで警察呼ぶから…、覚えときな?」 奈々子が野島に背を向け、私の方へと帰ってくる。 っていうか奈々子…、あんた演技上手すぎ。 「く…!!」 普通、ここは言い返すところのはず…、やっぱり私の読み通りだ。 ここまで言われても言い返さないのは、非がある事を認めている証拠…!! 「あっ…!!ねぇねぇ、友香里~!!」 「え…、どうしたの奈々子?」 「今日ね、放課後は先に帰っててくれないかな?ちょっと野暮用でね?」 「そっか~、じゃあしょうがないね、分かったよ。」 「友香里、本当にごめんね~?」 …一瞬だけ、気付かれないように野島の方を見る。 私たちの話をこっそりと聞いているようだ…。 私の作戦通りに…。 了
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加