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僕は振り返った。
しかし、そこに姉の姿がない。
僕は視線を少し先に向けた。
その視界に入ってきた光景に僕は、
いや、まさか。
と思った。
ここの川はどんなに深い所でも、子供の膝上くらいの水嵩しかなく、泳ぎたくても泳げないと、みんな不満を言ってたくらいだ。
その浅い川の中を姉の身体が転がっていく。
前回りに、右回りに、後ろ回りに。
僕はその信じられない光景に、しばし魅入ってしまった。
人間の身体がまるでボールのように転がっていく。
姉の顔が水面上に現れ、僕と目が合った。
その顔を見た瞬間、僕の身体から血の気が引いた。
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