川で…。(過去の今)

3/4
前へ
/24ページ
次へ
僕は急いで姉を追いかけた。 「ねえちゃんが、ねえちゃんが!」 叫んでるつもりなのに、誰も振り向かない。 誰もこの状況を理解しようとしない。 僕はなかなか進まない水の中を抜け出し、川沿いの土手を走る。 だけど水を含んだ靴が重くて、思うように追い付けない。 僕の足はスローモーションのように遅かった。 そのうち誰かがこの状況に気がついて、その場にいた子供達が野次馬のように遠目から僕と姉を見ている。 「網、網!」 と、叫び声が聞こえたとき、 川の中を転がる姉の身体が浅瀬に乗り上げ、 ―――止まった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加