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「正樹、ご飯よー!」
「はいよー。」
…俺の名前は松川正樹。
純情な高校二年生だ。
そして…毎朝決まって聞こえるのは、彼女からのラブコールではなく 母親の俺を呼ぶ声で起きているという、
…ある意味 高校生らしい高校生だ。
あー…切実に彼女欲しい…。
年齢=彼女いない歴ではないが、、最後に出来たのは今から3年前。
まだ穴は疎か、頭の中も青空でいっぱいな中学2年生の時になる。
唇の感触?そんなもん忘れたわ。
…で話しが逸れたけど、勿論、そんな未発達な餓鬼の頃の恋愛なんてたかが知れてるだろ?
手を繋いで遊んで、帰り道にそこら辺でペチャクチャ話しをする程度のものだ。
俺はそんなものより、本当の恋がしたい…!。
高校に上がった俺は、程よく発育した体であんなことやこんなことを平然と出来る高校生の恋愛ってものに期待していた。
「味噌汁はよくかき混ぜなさいよ。」
「…あいよ。」
…だが、なんだこの現状は。
中学時代と制服が変わっただけで 他は変わってないじゃねぇか!
ここは「彼女と待ち合わせをしてるから」…とか言う理由で、急いで飯を食って飛び出す所だろ。
なんで余裕もって飯食ってんだ?
そして何で味噌汁を念入りにかき混ぜてるんだよ、俺。
「…ねぇ正樹、いい加減その髪切ったら?…全くだらしない…恥ずかしくないの?」
正面に座る母ちゃんは俺の髪型をチラリと確認すると呆れたような表現を浮かべた。
「鳥の巣みたいな頭してる母ちゃんに言われたくないわ。…それに前から言ってるけど、こういう髪型なんだっつの!」
「アンタねぇ、これはパーマって言ってねぇ…」
「それ五千回くらい聞いた。」
「ならいちいち言うんじゃないよ!」
「…はいはい。ご馳走さん。」
味噌汁を一気に飲み干して、俺は支度をするために洗面台へと向かった。
「ちょっと正樹!!待ちなさい!」
「…何?早くしないと学校に遅刻しちゃうんだけど。」
一通りの身支度を整えて、玄関で靴を履いている俺に 母ちゃんは封筒を差し出した。
「これ!アンタ宛てに届いてたわよ!。」
「は?…俺宛?」
封筒には「松川 正樹様へ」とだけ書かれていた。
「…まぁいいや。」
俺は封筒を受け取ってブレザーに仕舞いこんだ。
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