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「八絵!朝よ!起きなさい!」
「んあ?」
朝……お母さんの声に起こされた。
「もう朝~?」
上半身を起こすと、ん~!と背中を伸ばす私に、お母さんが部屋のカーテンを開けながら話す。
「そうよ。今日から3年生でしょ?新しい部員も入ってくるんだから、シッカリしないと!て、言ってたのは八絵でしょ?」
そうだ!
お母さんの言う通りだ。
私は元気に布団から飛び出ると、パジャマをガバッと脱ぎ捨てた。
カーテンが開かれ、部屋には陽の光が眩しいくらいに射し込んでいた。
「よし!高島八絵やるわよ!」
春の明るい空に誓う私は高島八絵(たかしま・やえ)
今日から中学3年生だ。
制服に着替えて窓から外を見る……
「ん?」
隣の家から元気よく飛び出して行く少年を見る。
「行ってきまーす!」
外の声が、この部屋にまで聞こえてくる。
ブカブカの学生服。
ピカピカの鞄。
少年はフと顔を上げると、窓から見る私に気付いた。
「ヤッチャンおはよー!先に行ってるねー!!」
手をブンブン振る少年……
三枝光(さえぐさ・こう)を私は、ヤレヤレ…と言ったような呆れ顔で見ていた。
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