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灰色の雲を蹴り 飛び立った冬の空
風の揺りかご ゆらりゆらり
遥か下界を見下ろした
どこへ行くかは 風任せ
深い山の静寂に包まれ 動物たちを見守るのか
流氷に乗り 世界を旅するのか
それとも人里の屋根に降り 子どもたちの歌に耳を澄ますだろうか
夢はひらひら 幾億(いくおく)の仲間とともに
吹かれ流され 眼下に迫った景色
輝く街明かりが 闇夜を照らして
人々は賑やかに踊り 酒を交わす
色とりどりの飾りを揺らす樅(もみ)に そっと腰かけて
とても暖かな気持ちになった
消え行く手先を見つめながら 喜びをかみしめる
他の誰よりも 幸せな生涯だったと思うから
夜が明け 射し込む朝陽(あさひ)に照らされた
樅の葉から ひとしずくの水がきらりと落ちた
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