松永久秀という男

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「知っての通り、現将軍家はかつての威光を取り戻しつつある」 トントン地図上に落とされた扇子の先が小刻みにリズムを刻む 「義晴様の器量を超え三代将軍義満公にも比肩しうると評判の義輝様じゃ、将軍位に就けば…分かるな?」 「三好にとっては…否、朝廷にとっては面白く御座らん」 「しかり、朝廷に三好、松永共に足利義輝という才君は邪魔にしかならぬ」 義幸の言いたい事を読み取ったのか二人の表情は暗く険しい 「将軍即位は大々的に執り行われる、将軍家復権を世に知らしめんが為にな」 既に懇意としている大名家には義輝の将軍即位は義輝から密かに伝えられている 足利将軍家健在をアピールするには絶好の機会であり、即位式典に掛ける意気込みは相当のモノだろう
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