松永久秀という男

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今、目の前に居る二人が理解の及ばぬ化物に見えて仕様がない… 一瞬そんな思考が頭をよぎるが、少しばかり寂しげに揺れる金色の双眸が雪斎の心を震わせた 「いや、少しばかり面を喰らっただけで御座る」 ふぅーと一息呼吸を整えギラリと視線を地図へと落とし熟考 何かを吹っ切った、いや乗り越えた雪斎の態度の変化を感じた義幸は優しげに微笑んだ そんな二人の雰囲気に首を傾げながらも少しの嫉妬心をチラチラ燃やし幸政も地図へと視線を向けた 「幸政、先を」 「はい、将軍暗殺と言いましても簡単では御座いません」 「大々的な式典の警備じゃ、例え風魔とて衆目監視の中で的を殺すは安易に非ず…」 時、場所、方法、凶行後の動き、様々な事項を考察し真田家の取るべき行動を話し合う 幸政が策を出し雪斎が指摘し練り上げる そんな頼れる軍師二人を視界に義幸は未だ邂逅果たさぬ松永久秀に想いを馳せる そなたの悪謀、丸呑みにして真田飛躍の礎にしてやらん そして薄幸の将軍義輝…悪いが貴方の屍踏み越え真田は天下へ飛翔する! 「久秀よ…太原雪斎、海野幸政、二人を超えねば儂には届かぬぞ」
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