京炎大狂演

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その日、足利義輝は普段の眉間に皺寄せた威厳に満ちた顔つきとは打って変わって上機嫌で酒を傾けていた 厳かな雰囲気の中で行われた将軍拝命 盛大に行われた式典 民からの祝いの歓声が上京と下京の中心部に建てられた二条御所に響いて聴こえる ひっきりなしに届く大名家からの祝いの品に挨拶の列 死と隣り合わせの幼少期だった 誰味方か分からぬ侭に、時勢に流され臣下で有る筈の三好に京を何度となく追い出され逃げ出し恐怖に震える毎日を過ごした 将軍とは何ぞや 幕府とは何ぞや 武家とは、武士とは、足利義輝とは何者ぞ… 暗く細く険しく寂しく… 折れ掛かった彼の心に差し込んだ光 君が見た光 触れ合いの心 幸せの青い雲~♪ 「随分と上機嫌ですな上様」 「青雲~…お、藤孝か」
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