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「約一年ぶり…に、なりまするか」
上機嫌な義輝に向けて話すは藤孝と呼ばれる男
細川藤孝
身形優美で所作優雅
容姿端麗にして頭脳明晰、古今和歌に通じ茶道をたしなみ美術芸術に造旨が深く朝廷公家から信頼得る当代随一の文化人である
また、幕臣にして足利義輝の右腕的存在であり朝廷幕府間の調整役を担当している
そんな頼れる部下の登場に殊更機嫌を良くした義輝は破顔一笑、言葉を返す
「上機嫌にも上機嫌、将軍に登り廻り見渡せば東西南北緒将大名、代表格が祝い目出度いと顔を覗かせひっきりなしよ!」
見事にはしゃいでいる主君に諌めの一言浴びせてやろうと口を開き、そのままそっと閉じた
初めて魅せる主君の心からの笑顔に藤孝も頬を弛めて感慨耽る
最初で[最後]になるであろう主君の笑顔を瞼に焼き付け…
(一時なれども栄華主座にて枯れ果てい、憐れな道化よ…弟よ…)
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