運命1

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「着いたよ」 マンション前で下ろされた。 「ありがとうございました」 ペコッと頭を下げて、マンションに入ろうとすると、 「何階?」 と後ろから呼び止められた。 「あ、あの……ここでもう結構ですので。ありがとうございました」 これ以上は危険なニオイがする。 それにここからは、セキュリティ専門スタッフや、コンシェルジュが24時間いて、怪しまれたくない。 戸惑う私の顔をじっと見つめ、 「わかった」 と一言呟いた。 帰ってくれるかと思ったのに、 「コンシェルジュのところまでだから」 と言われると、その真剣な目から信用してしまう。 え? もうゆっくり歩くだけだから平気なのに、市ノ瀬さんは、また、おんぶをする姿勢でしゃがんだ。 「あ、あの……」
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