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「何?早く!俺、変質者になりたくないんだけど」
変質者!?
親切なイケメン変質者?
フルフルと頭を振り、妄想しそうなのを取り払った。
「すいません。では、お願いします」
私がおぶさったのを確認すると、立ち上がり、コンシェルジュのもとへ歩いていく。
「須羽様、どうかされましたか?」
いつもなら、にこやかにお帰りなさいませと言う口が、今日は、違う言葉を紡ぎ、早口で、マニュアル通りじゃない。
「あ、あの―――」
「この人の靴のかかと、明日までに直してやって」
説明しようとした私を遮り、私を下ろした市ノ瀬さんは、それだけ言うと、じゃあと、軽く挨拶をして背中を向けた。
「ま、待って!」
コンシェルジュが何かを話し始めたが、一切聞かずに、呼び止めたが、市ノ瀬さんは、振り向くことはなかった。
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