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「じゃ、俺らも行くぞ」
西野琢磨を連れて行こうとする市ノ瀬さんに、
「あッ!あの……市ノ瀬さん。先日はありがとうございました」
と、背中に向かって声をかけた。
「先日?誰かと勘違いじゃねェの?それに今、仕事中」
えっ……。
背中を向けたまま振り返りもしないで行ってしまった。
「須羽さん、行くわよ」
私たちのやり取りを気にもとめない高田チーフは、既に、パソコンを見つめていた。
市ノ瀬光騎。
平凡とは程遠いその名前を間違えるわけないのに。
あれ程整った顔のイケメンさんは、そうそう間違えるわけないのに。
「須羽さん。一つだけ忠告しておくわ。市ノ瀬くんにアピールするなら仕事中は厳禁よ。女の子を強調して仕事をしない子が一番嫌いね」
今日の予約を確認しながら、淡々と言い放った高田チーフ。
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