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「す、すいません」
男の人に触れられたのは久しぶりで、それがイケメンさんときたら、勝手に、心臓が走っていた。
「いや、いいけど。あんたそのまま帰るの?」
「え?」
「うん。だからソレ歩きにくくない?」
首を傾げ、指を差された足元は……
「ぐぇッ!な、何で?」
ぐぇッて何だ?そんな奇声をあげている場合じゃない。
どうしよう!!困った!!
見事に、ピンヒールが!!
ポキッと折れたヒールを見て、心も折れた。
人さまの前で、泣きたくないのにポロリと涙が落ちた。
面倒臭い女。イケメンさんは、きっとそう思う。
でもね、高かったの!まだ二回しか履いていないの!お気に入りだったのに。
小さく頭を下げて、うなだれたままコンビニを出た。
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